システム開発の工程・流れとは?開発で知っておきたい用語まとめ

はじめに

こんにちは、Raithing株式会社の今村です。

「システム開発を外注したいが、どこから手をつけてよいかわからない…」そのような悩みを抱えている方も多いのではないだろうか。筆者自身、多くのスタートアップや中小企業の方々とお話しする中で、同じような不安や疑問を数多く耳にしてきた。

実際に、システム開発の工程や流れを正しく理解していないと、外注先とのコミュニケーションがうまくいかず、「思っていたのと違うシステムができてしまった…」という事態になりかねない。筆者が関わった案件でも、システム開発の基本を理解している企業とそうでない企業では、開発開始までのスピードが1〜2ヶ月も違うことがあった

「時間もコストも限られている中で、最適なシステムを作りたい!」そのような思いを持つ皆様に向けて、本記事ではシステム開発の基本的な工程とその流れをわかりやすく解説する。この記事を読むことで、外注先とのコミュニケーションがスムーズになり、開発の工数を大幅に削減できるかもしれない。ぜひ最後までお読みいただければ幸いである。

システム開発の工程・流れとは?

システム開発は、いくつかのステップに分けて進められる。それぞれの工程が連携し、最終的なシステムを構築する。

1 プロジェクト計画

まずは、何のためにシステムを作るのか、その目的や目標を明確にする。全体のスケジュールや予算、必要な人材などを計画し、リスクも事前に洗い出す。ここでしっかりと基盤を築くことで、プロジェクトの成功率が大きく上がる。

2 要件定義

次に、システムに必要な機能や性能を具体的に決める。ユーザーや関係者から「こんなことができるようにしたい」という要望を集め、それを文書にまとめる。この工程をおろそかにすると、後で「思っていたのと違う!」という手戻りが発生しやすくなる。

Raithing株式会社では、この手戻りを防ぐためにAIを活用し、さまざまな観点から要件を丁寧に詰めることを推奨している。

3 基本設計

要件定義をもとに、システム全体の設計を行う。どのような機能があり、それぞれがどう連携するのか、全体の構造を描く。

AI技術を活用することで、基本設計を複数パターン素早く作成し、より最適な設計を選ぶことができる。これにより、全体像をしっかりと把握した上で細部の設計に進める。

4 詳細設計

基本設計をさらに細かく具体化する。各機能の処理内容やデータベースの設計など、実装に必要な詳細を決める。

5 実装

詳細設計をもとに、実際にプログラミングを行う。コードの品質や読みやすさを意識し、効率的かつ正確に機能を作り上げる。

Raithing株式会社では、AIオフショア開発を活用し、高品質なコードを高速かつコストを抑えて開発することを推奨している。

6 テストフェーズ

実装が完了したら、システムが正しく動くかテストを行う。

  • 単体テスト:個々のプログラムが正しく動作するか確認する。
  • 結合テスト:複数のプログラムが正しく連携するか確認する。
  • システムテスト:システム全体が要件通りに動作するか確認する。
  • 運用テスト:実際の運用環境で問題がないか最終確認する。

7 リリース

テストが完了し、品質が確保できたら、システムを本番環境に導入する。これでユーザーが実際にシステムを利用できるようになる。

8 保守・メンテナンス

リリース後も、システムが安定して動くようにサポートが必要である。不具合の修正や新機能の追加、セキュリティのアップデートなどを行う。

正しい工程でシステム開発を行うメリット

しっかりとした工程でシステム開発を進めることには、多くのメリットがある。下記にそのメリットを述べる。

1 品質向上

各段階で確認やテストを行うことで、不具合を早期に発見できる。その結果、最終的なシステムの品質が向上し、ユーザーの満足度も高まる。

2 プロジェクト管理の効率化

工程が明確であると、進捗状況の把握やタスクの振り分けが容易になる。問題が発生しても、どの段階で起きたのか特定しやすく、迅速な対応が可能である。

3 コスト削減

手戻り作業が減ることで、無駄なコストを削減できる。早期に問題を見つけて修正することで、後々の大きな出費を防ぐことができる。

システム開発の工程で知っておきたい略語

システム開発の現場では、多くの専門用語や略語が使われる。これらを理解しておくと、外注先とのコミュニケーションがスムーズになり、プロジェクトの進行が円滑になる。

1. SP(システム企画)

説明:システムを導入する目的や背景を明確にする段階である。ビジネスの目標や課題を洗い出し、それを解決するためのシステムの方向性を定める。ここでの計画が後の全ての工程の基盤となる。

具体例:新しい顧客管理システムを導入して、営業効率を上げたいと考える場合、その目的や必要な機能、予算などを明確にする。

2 SA(要求分析)

説明:ユーザーや関係者から具体的なニーズや要望を収集・分析する工程である。何を実現したいのか、どのような機能が必要なのかを詳しくヒアリングし、それを整理する。

具体例:営業担当者から「顧客情報をリアルタイムで共有したい」という要望を聞き取り、それを実現するための方法を考える。

3 RD(要件定義)

説明:要求分析で得られたニーズをもとに、システムが持つべき具体的な機能や性能を文書化する工程である。これが後の設計や開発の指針となる。

具体例:「顧客情報のリアルタイム共有」を実現するために、データベースの設計やアクセス権限の設定などを詳細に定める。

4 BD(基本設計)

説明:要件定義をもとに、システム全体の構造や機能の概要を設計する工程である。どのような画面が必要か、各機能がどのように連携するかなど、システムの全体像を描く。

具体例:顧客情報の入力画面や検索画面、データの保存方法などを設計図として作成する。

5 UI(UI基本設計)

説明:ユーザーインターフェースの設計を行う工程である。ユーザーが直感的に操作できるよう、画面のレイアウトやデザイン、ボタンの配置などを決める。

具体例:ボタンの色やサイズ、入力フォームの配置、ナビゲーションメニューの構成などをデザインする。

6 ED(外部設計)

説明:システムの外部仕様を定義する工程である。ユーザーから見たシステムの動作や、他のシステムとの連携部分を設計する。

具体例:他の営業支援ツールとのデータ連携方法や、ユーザーが入力したデータがどのように処理されるかを設計する。

7 DD(詳細設計)

説明:基本設計をさらに詳細にし、各機能の具体的な処理内容やデータベースの構造、アルゴリズムなどを設計する工程である。

具体例:データベースのテーブル構造を定めたり、特定の機能の処理手順をフローチャートで示したりする。

8 ID(内部設計)

説明:システム内部の動作や処理フローを詳細に設計する工程である。モジュール間のデータの受け渡しや、エラー処理の方法などを定める。

具体例:ユーザーがデータを入力した際に、バックエンドでどのように処理され、保存されるかを設計する。

9 SS(構造設計)

説明:システム全体の構造を設計する工程である。モジュール(部品)の分割や階層構造、クラス設計など、システムの骨組みを作る。

具体例:ユーザー管理モジュール、データ管理モジュールなどに機能を分け、それぞれの関係性を設計する。

10 FD(機能設計)

説明:各機能の詳細な動作を設計する工程である。具体的な入力・出力、エラー時の対応などを細かく定義する。

具体例:顧客情報を検索する際の検索条件の設定や、検索結果の表示方法、エラーが発生した場合のメッセージ内容などを設計する。

11 PD/PS(プログラム設計)

説明:実際のプログラムを書く前に、コードの処理手順やアルゴリズムを設計する工程である。プログラムの構造や変数の定義、関数の役割などを決める。

具体例:顧客情報を保存する際のアルゴリズムや、データのバリデーション(検証)方法を設計する。

12 PG(プログラミング)

説明:設計書をもとに、実際にコードを書いてシステムを構築する工程である。選定したプログラミング言語を使って機能を実現する。

具体例:JavascriptやPythonなどの言語でコードを書き、機能を実装する。

13 CD(コーディング)

説明:プログラミングと同義で、実際にコードを記述する作業である。コードの品質や読みやすさ、保守性を意識して書く。

具体例:コード内にコメントを入れてわかりやすくしたり、命名規則を統一したりする。

14 UT(単体テスト)

説明:個々のプログラムやモジュールが正しく動作するかを検証する工程である。バグや不具合を早期に発見・修正することが目的である。

具体例:顧客情報の登録機能だけをテストし、正しくデータベースに保存されるか確認する。

15 IT(結合テスト)

説明:複数のプログラムやモジュールを組み合わせて、連携が正常に行われるかを確認する工程である。

具体例:顧客情報の登録から検索、編集、削除まで一連の操作が問題なく行えるかをテストする。

16 PT(総合テスト)

説明:システム全体が設計通りに動作するかを総合的に検証する工程である。性能やセキュリティ、負荷テストなども含めて行う。

具体例:同時に多くのユーザーがアクセスした場合の動作や、セキュリティ上の脆弱性がないかを確認する。

17 ST(システムテスト)

説明:ユーザーの要件を満たしているか、システム全体の品質を最終確認する工程である。実際の使用環境を想定してテストを行う。

具体例:実際の業務フローに沿ってシステムを操作し、問題がないかを確認する。

18 OT(運用テスト)

説明:実際の運用環境でシステムが問題なく稼働するかを確認する工程である。導入後のトラブルを未然に防ぐための最終チェックである。

具体例:本番環境でデータのバックアップや復元が正常に行えるか、システムの監視が適切に機能しているかを確認する。

まとめ

システム開発は、多くの工程が連携して進められるプロセスである。正しい工程を踏むことで、品質の高いシステムを効率的に開発でき、コスト削減やプロジェクト管理の効率化といったメリットも得られる。

また、業界特有の略語を理解しておくことで、外注先とのコミュニケーションがスムーズになり、プロジェクトの成功率も高まる。

「システム開発とは、このような流れで進むのか!」と感じていただけただろうか。これからシステム開発を外注しようと考えている皆様の一助になれば幸いである。

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