AIX導入を成功させる考え方

はじめに

こんにちは、Raithing株式会社の今村です。

日本ではいまだにDX(デジタル・トランスフォーメーション)が進まない状況が続いているが、世界はすでにその先のAIX(AIトランスフォーメーション)の時代へと移行しつつある。

DXとは、デジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを構築し、より良いサービスや低価格で市場を席巻することであった。たとえば、既存の書店ビジネスを革新したアマゾンがその典型例である。

一方、AIXはAIを最大限に活用し、少人数で高度なサービスを提供するベンチャー企業が台頭する時代を指す。その結果、多くの雇用を支えている既存企業が淘汰されることがあるかもしれない。

この変化は、大量の失業者を生み出し、貧富の差をさらに拡大させると個人的には考えている。特に「ホワイトカラー」の職種が大きく減少し、人々は身体を使うサービス業に移行せざるを得なくなる。

しかし、これはピンチであると同時に大きなチャンスでもある。人材を簡単に解雇できない既存企業にとっては危機かもしれないが、AIXを推進するベンチャー企業や中小企業にとっては絶好の機会である。また、2025年から2035年にかけて労働人口が減少する中、人を雇用するコストはますます高まるだろう。そのような時代において、AIを導入することは人件費を抑え、効率的にビジネスを展開する鍵となる。

つまり、これからの時代、「AIを使いこなす側」に立つことが何よりも重要なのである。

本記事では、AIXをどのように導入し、成功へと導くか、その戦略と具体的な事例を紹介する。

AIXを小さく始める戦略

内部からの変革:社内プロセスの最適化

AIX導入は一度に大規模に行う必要はない。まずは社内のコスト削減や業務負担の軽減といった内部改善から始めると良い。これにより、AI技術を社内に浸透させ、社員の抵抗感を和らげることができる。

たとえば、社内コミュニケーションツールにAIチャットボットを導入し、問い合わせ対応や情報検索を自動化する。また、定型業務をRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)と組み合わせて自動化することで、業務効率を大幅に向上させることが可能だ。

フィードバックループの構築:継続的な改善

社内でのAI活用を進める中で、社員からのフィードバックを積極的に収集し、システムの改善に役立てる。これにより、AIシステムの精度や使い勝手を向上させ、最終的には外部向けのサービスとして展開する際の基盤を築くことができる。

小規模プロジェクトからの拡大

いきなり大規模なプロジェクトに取り組むのではなく、小さな成功体験を積み重ねることが重要である。たとえば、特定の業務プロセスを自動化する小規模なウェブアプリを開発し、その成果をもとに他の業務へと適用範囲を広げていくのが良い。

具体的なAIXの事例

業務効率化と自動化

株式会社Zeals公式サイトより引用

株式会社Zealsは、「おもてなしAI」を活用したチャットコマース®︎ソリューションを提供し、CPA(顧客獲得コスト)を257%改善した。AIによる高度なコミュニケーションデザインで、オンライン上での顧客体験を飛躍的に向上させたのである。

従来、電話やハガキDMで行っていた車検や点検の案内を、LINE上のチャットボットで自動配信することで、作業工数を80%削減した。この取り組みにより、人的リソースをより戦略的な業務に振り向けることが可能となった。

マーケティングと販売促進

セブン&アイ・ホールディングス公式サイトより引用

セブン&アイ・ホールディングスは、生成AIを活用して店舗運営の効率化を図っている。店舗マネージャーが「デイリー商品の品揃えの課題点を教えてほしい」と生成AIに質問すると、具体的な問題点や改善策が提示される。これにより、データ分析の専門知識がなくても、迅速に課題を特定し対策を講じることが可能となった。

データ分析と意思決定

物流大手のDHLは、生成AIを活用して世界中の配送ルートを最適化している。リアルタイムの交通情報や天候データを取り込み、最適なルートを算出することで、配送遅延を減少させ、燃料消費も削減した。特に欧州の都市部でのラストマイル配送が効率化され、顧客満足度の向上にも寄与している。

人材育成と教育

株式会社パーソルでは、コンタクトセンターのオペレーター育成のためのロールプレイングシナリオ作成に生成AIを導入。これまで約4時間かかっていた作業が約2時間に短縮され、複数のシナリオを迅速に制作できるようになった。これにより、オペレーターの早期習熟が期待されている。

AIX導入を成功させるためのポイント

1. 明確なビジョンと戦略の設定

AIX導入にあたっては、明確なビジョンと戦略を持つことが不可欠である。何を達成したいのか、どの業務プロセスを最適化するのかを明確にし、それに基づいたロードマップを策定する。

2. 社内の共感と理解を得る

実際にそうなる可能性は低いにも関わらず、AI導入=コスト削減と考え、AI導入に反対したりする社員もなかには存在する。私の経験でも社内で素晴らしいAIを導入しても、実際にそのまま即利用というわけにはいかないことが多い。AI導入に対する社員の不安や抵抗感を軽減するため、研修やワークショップを通じて共感と理解を深める。社員一人ひとりがAIXの価値を実感できるような取り組みが重要だ。

3. パートナー企業との連携

自社だけで全てを賄うのではなく、専門知識を持つパートナー企業と連携することで、よりスムーズにAIX導入を進めることができる。技術的なサポートだけでなく、事業戦略の策定や実行にも貢献してもらう。

まとめ

Raithing株式会社では、企業のパートナーとしてAIX導入を全力でサポートしている。最新のAI技術や研究成果を積極的に取り入れつつ、それをいかにビジネス戦略と結びつけるかに特にフォーカスしている。

これからの時代、AIXを効果的に導入し、ビジネスを革新していくことが成功の鍵となる。限られた予算と時間の中で、最適なソリューションを見つけ出すために、ぜひ私たちと一緒に新たな一歩を踏み出してほしい。

AIX導入やAI活用についてご興味がある方は、ぜひRaithing株式会社までお問い合わせいただきたい。あなたのビジネスの可能性を最大限に引き出すお手伝いをさせていただく。

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